障がいや病気を持つ猫さんの暮らしを紹介する、この企画。
※この企画に込めた想いは下記に綴っていますので、一読いただけたら嬉しいです。
この企画に込めた想い
第7回目は、みつ(@maemu0222)さん宅のチーちゃん。
元野良猫のチーちゃんは、成長過程で栄養が足りず、骨盤が育たなかったそう。みつさんは排便介助を行いながら、暮らしをサポート。
残念ながら昨年、チーちゃんは虹の橋に旅立ってしまいましたが、天寿を全うすることができました。
- 排便が困難な猫を保護した人
- 猫の排便介助法を知りたいと思っている人
- 便が出ない猫へのサポート法を学びたい人
目次
チーちゃんのプロフィール
名前:チーちゃん
猫種:ミックス
性格:芯が強い
好きなこと:自室で過ごす、同居猫ヨルちゃんと寄り添う
病名:不明
排便困難な野良猫と出会って
――保護の経緯や状態は?
会社の裏にある野良猫の通り道で、フェンスの先で倒れているところを発見しました。
お腹がパンパンでした。病名は告げられませんでしたが、成長過程で栄養が足りず骨盤が育たなかったとの説明を受けました。
そうした状態の野良猫は多いそう。チーちゃんは極端に小さく、便の通り道が人間の小指ほどしかない状態でした。
――どのような治療をされたのでしょうか?
カチカチに固まっていた便を、手術で取り除きました。
その後は消化のいいロイヤルカナンの療法食「消化器サポート可溶性繊維」を与え、しばらくは調子がよかったのですが、また詰まってしまい、再び手術。
けれど、便がつまる度に手術が必要なのだろうかと思い、別の病院へ行きました。
セカンドオピニオンで判明した事実
――そこではどんな診断をされましたか?
まず、最初の病院で手術を受けたことに驚かれていました。専門の器具で掻き出すのが基本だと仰ってましたが、先生の知識や腕の差もあるので手術を選ばれたのかもしれないとおっしゃっていました。
骨盤を広げる手術もあるけれど、費用が高額な上に、無理なく便が出るようになるとは限らないなどリスクが高いことを説明され、先生からも積極的に勧めらなかったので、受けませんでした。
――その後は定期的に便を絞り出してもらうようになったとか?
便が固まってない場合は、器具を入れずに絞り出せるようでした。
お腹を揉みほぐして便を出すのは不可能に近かったので、出なくなって3日ぐらいの場合は病院で便を絞り出してもらうようになりました。
マッサージで排便介助をされてる飼い主さんは多くおられますが、私自身は難しいと感じたので病院でお願いしていました。
自宅で行った暮らしのサポート
――自宅でしていたサポートは?
基本はロイヤルカナンの療法食を与え、便を柔らかくする薬をちゅ~るに混ぜ、飲ませていました。
けれど、それだけでは出ないので、赤ちゃん用のイチジク浣腸を半分ぐらい2日に1回のペースで挿れ、「ラクツロース」という下剤や「モサプリド」と「ペラプリン」という薬も飲ませていました。
――下剤の効果はどうでしたか?
調子がいい時はすぐに出ますが、固まりがある場合は嘔吐や汁を撒き散らしていました。
ケージに入れたほうがいいとアドバイスを受けましたが、自室なので「汚れてもいい」という心構えで、汚れたら掃除を行っていました。
夜中でも起きなければならないし、1日に何回もシーツ交換しなければならないこともあり、大変ではありました。ちなみに、オムツはしていませんでした。
――チーちゃんは1つの部屋で生活していたそうですね?
なぜか、保護をした日から自室で生活し始めました。どれだけ扉を開けても、その部屋から出ず、出たとしても廊下まで。その部屋の中で、生涯を過ごしました。
私は使用しませんでしたが、ケージやオムツを利用すると人間側のストレスが軽減されるとは思うので、使うのもありだと思います。
――何歳まで生きてくれたのでしょうか?
拾った時点で成猫でしたので、多分15歳ぐらいだと思います。
チーちゃんへ
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- 小さい体で、一生懸命に生きたね。部屋に入ったら、いつもお出迎えをしてくれて、枕の横で寝るのが好きだったね。生涯、自室から出てこなかったのは不思議だったけど、その部屋でリラックスしてくれていたのならよかった。
チーちゃんのように、保護した後に怪我や病気が見つかる子も多いし、病院代や苦労も続くと思います。できる範囲は人によって違うけども、見捨てて悲しむよりは救って苦労する方が心が癒されました。チーちゃん、色んな事を学ばせてくれてありがとう。